316〈初めて駅で発狂した〉

今日、初めて駅で発狂してしまった。自分でも信じられない。また泣きそうになるから書きたくないが自分のためにも書かなければいけない。

 

朝、睡眠不足だが早起き。美容院に行くため。駅行く途中で遅刻が確定したので、デニッシュっぽいサンドイッチを購入し、ホームで食べていた。

電車が来たので、食べ途中のまま手に持って乗車。デニッシュぽい素材だからつぶさないように丁寧に持っていた。

ある駅で、女性(30〜40代・母親・子連れで父親もいた・茶髪・蛍光黄緑のトップス)が乗車したとき、私の手首にぶつかる。これが、子どもがぶつかったのか、この女の人がぶつかったのかよくわからない。「あっ」と言っていたらサンドイッチを車内に落としてしまった。中身がバラバラに散らばった。まず、つらい。純粋に悲しい。入り口付近にいたからどんどん人乗ってくるけど、しゃがみ込んで具を拾い集めた。女の人「あっ、すみません」「これ使いますか?(ウェッティを差し出す)」私「ありがとうございます、気にしないでください」会話終了。特に不満はなかった。黒くなった具材を、サンドイッチが元々入っていた包装にしまい、持っていた。何事もなかったような感じになった。

数分後、ある男性(大学生〜同年代くらい?)が、わざわざリュックからゴミ袋を出し、肩をポンポンとして私にくれた。うれしかった。それにサンドイッチの包装を入れた。そのまま数分。ただ、このあたりから心がザワザワし始める。奥の優先席付近で、ありえないほどデカい声で泣いている赤子が2人。「共鳴しあってるのね笑」と笑っている乗客がいた。こっちのほうが泣きてえよ、と思った。バラバラになったサンドイッチを拾う惨めさ、すみませんがポーズの一回きりで、心がこもっておらず、そんなつもりなかったんですけど…感が出ていたこと、ウェッティで済むと思っていること、一緒にいた父親が終始無視で何事も触れてこなかったこと、ウェッティのあと、普通に私に背を向け子供とずっと戯れていたこと、赤子2人が泣き止まないこと、ビニール袋をくれた男性の優しさと、それにより際立つぶつかり女性の対応の人でなしさ、眠いこと、すっぴんなこと、美容院に遅刻していること、赤子2人がまだ泣き止まないこと、視界に入る黄緑の服。涙が出てきてしまった。この時点ではまだ発狂はしていない。涙垂れ流し状態。ちょっと、背を向けていた女性に聞こえるように小さい音で鼻をすすった。ビニール袋をくれた男性には多分泣いているところをずっと見られていた。

 

サンドイッチを落としてからここまでの一部始終が10分間くらい。泣きながら乗り換えの駅に到着した。案外涙が止まらない。ぶつかり女性家族、普通に私のことを無視したまま乗り換え用の階段に歩き出す。私は美容院に遅刻していたので、タクシーを乗ろうと思い、本来なら同じ乗り換え用階段を使うが、別方面に歩き出した。泣きながら。で、無理だった。どう考えても、あいつが100円でもいいからお金を払うか、パンを買ってくれるかしないと、私は本当に許せない。おかしい。やっぱりあの対応はおかしかった確実に。てかお前が拾えよサンドイッチ。泣き方が大きくなり、ひっく、ひっくと声が出始めた。やや過呼吸にもなった。

Uターンをして、走って階段を登ってあいつらを追いかけた。ひっくひっくで。慌てて階段を登り切ったが見つからなかった。今つとめて冷静に文章を書いているが、このときはもう、人生のピークというくらい泣いていた。大きい声を出して泣いていたので、周りの人に避けられていた気がする。限界に達し、サンドイッチの入った袋をすごい勢いで駅構内(広めの乗り換え通路)の床に叩きつけ、その場でしゃがみ込んで声を上げて号泣した。30代くらいの女の人が駆けつけて、「大丈夫ですか!?」と声をかけてくれた。多分大丈夫ですと答えた気がするが覚えてない。今思うと、痴漢とかにあったと思われていたのかもしれない。この優しさもつらくなる。立ち上がって遠くに落ちたビニール袋を拾い(記憶がないが、手に持っていたから拾っている)、そのまま壁沿いに移動してまたしゃがみ込み嗚咽。まだ過呼吸は続いていた。でも美容院に遅刻しているので、タクシーに乗らなきゃだし、大きな声で泣きながら来た道を走って戻った。ずっと周りの人に怪訝な目で見られて避けられていた。ほぼ人の流れに逆らって走っていたから、周りの人たちがよく見えた。

階段を下ってから数歩歩いて、やっぱり、許せないと思ったパンを買わせるかお金を払わせるかまずこの泣いている私を見せなきゃいけない、から、またUターンして、今度はあいつらが乗り換えたはずのホームまで行った。まだ嗚咽&過呼吸は継続。走って探したが見つからない。多分既に前の電車に乗っていたのだろう、力尽きて、遅刻しているけど美容院方面の電車に乗った。ありえないくらい泣いていたのでまた乗客(向かいに立っていたおばあさまとか)にひかれていた気がする。失恋とか恋愛のなんかだと思われたんじゃないかな。サンドイッチですし、私にとってはもっと深刻ですが。

電車に乗ってからも、なんで自分はその場ですぐ「お金払ってください(パンを買ってください)」と言えなかった、怒れなかってんだろう、乗り換えのタイミングで言えなかったんだろう、自分は弱い、という悔しさでいっぱいになり、なかなか涙が止まらなかった。あと、汚れたサンドイッチの具材が入ったビニール袋をずっと手に持っているのも、逃れられなくてつらかった。ビニール袋をくれた男の人の優しさも思い出してしまい苦しい。なんか放心状態すぎて全然携帯とか見れなかった。自分が、公共の場で発狂した、という事実も自分自身にとって相当衝撃だった。いつものように寝不足とか生理中とか、要因も分析しようと思えばいくつか出せるんだけど、あまりしっくりこないような、なんかもう、無理だった。あまりに限界だったので誰かに連絡しようと思ったが、連絡したい人はいない。Twitterのアカウントを開き、「初めて駅構内で発狂してしまった」と打ち、投稿するのをやめて画面を閉じた。

 

乗り換え駅到着からここまで、約15分くらい。美容院のある駅に到着。さすがに泣き止んでいた。駅に降りてからもじんわり泣いたが、美容院に着いてしまうので完全に泣き止んだ。疲れていた。ビニール袋を早く捨てたくて、ペットボトルのゴミ箱に押し込んだ。

美容院着いてから色々してもらってる間も割と放心だったが、シャンプーくらいから立て直した。その後、友人たちとランチに。朝のことは言えなかった。仕事の大変さを語り合ったあと、旅行行きたいね〜という話になり、ある子が「こう思えるってことはまだ元気だ(笑)」と言ったとき、私はもう元気じゃないかもしれない、と思った。仕事のせいだとは思いたくない。発狂に理由とかはなかったと思う。でも正直、これがなにか精神的な病の症状だったらどうしようと少し不安にはなった。今日は疲れた。