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昨日今日、熱海へ。目的は積読消化なんだけど、スマホ禁止もやってみた。紙に乗換案内とホテルの地図書いて持って行った。

まず、新宿で小田急線乗り場を探すのにめっちゃ迷った。スマホなしの弊害早いよ。電車はずっと読書。2年前?の18きっぷの時にも読んでいた武田百合子富士日記』、の下巻。『富士日記』は電車だけで読むと決めているのだ(今日気持ち武田百合子の文体に影響受けている)。熱海直前で隣の席のおばあさまが「もう赤飯二度と食べることない、いいことがないから」みたいなことを言っていた。

みたらし団子を食べ歩きしながらホテルに着き、一瞬だけスマホ起動。起動するんかい。お母さんにオーシャンビューの写真を送ってオフ。

手ぶらで海に行くのは楽しかった。ただ、たしか映画『めがね』で市川実日子がたそがれた感じで海見て、すぐ飽きたつって立ち去るシーンがあったんだけど、マジでそれで、海、すぐ飽きる。飽きないときもあるんだけど。天気悪かったからだと思うわ。

マジで誰が行くねんと思っていたあの海沿いのジョナサンで夕食。イタリアフェアのやつ食べた。本当に旅行の食事に興味がない。興味がないというよりめんどくさいんだと思う。友達と旅行のときは毎食ちゃんと調べて、予約して、ってやる(やらせる)けど、自分ひとりだったらマジでなんでもいいというかこちらがそもそもデフォルト。お腹が空いたときにすぐ食べれることのほうが大事。てかなんなら観光地行くのもめんどくさい。めちゃめちゃ興味があるものでない限り、行かなくていい。旅行、ずっとホテルでいい。家と同じことを遠くでしたいだけ。だから今回はそうした。

珍しくお酒を買ってホテルに戻る。クソ雨。すぐ大浴場に行ったが、狭めなのに私と、50代くらいの友人同士2人の3人しかいなくて、あがるタイミングとか髪乾かすタイミングとか被りまくって本当に気まずかった。2人はずっと喋ってるんだけどその真横にずっと無言の私いる。

それが多分18時前くらいで、そこから町屋良平『生きる演技』を読む。めっちゃ分厚い。無音嫌でテレビつけたらやってたドキュメント72時間の大阪のスーパー玉出回、めっちゃ良かった。良くて、本置いてしっかり見てしまった。働く高齢者ばかりでてくる。皆、年金だけじゃ生活できない、と言っていた。24時間営業で、夜中の3時代に老人がよくくる。

それからずっと『生きる演技』読み続けて24時過ぎに。まって6時間も読んでいたのか。これが本当に、久々に小説で世界変わる感覚を覚えたほどの傑作。すごい映画を観たあとみたいに、余韻でいっぱいになり、しばらく寝れなかった。朝も、なんなら今まで引きずっているし、人物たちが私の中に生きている。ああ全然感想文に感情乗ってないが、本当に、引力というか磁場というか畏れというか、凄まじい小説だった。ステマみたいなほどの高評判をツイッターで見て買っていたのだが、ステマみたいなことしか言えないほどすごい作品だった実際に。読んでほしい。奇跡が何回も起こる。ずっとピーク。濱口竜介に映画化してほしい。すごい濱竜っぽかった、だから好きなのかも。映画監督でいうなら、濱竜と石井裕也のいいとこどりみたいな。単行本で400ページ弱、しかも改行が少なくて文体も複雑なので最初乗れないんだけど、100ページくらいからもうやめられなくなる。あと最後に熱海がでてきて、ゾッとした。なんかそう、怖かったんだよホラーじゃないんだけど。熱狂の素晴らしさと危うさみたいなものが交互に波になっている。自転車の描写と暴力の描写がうまい。あらすじを書きたいんだけど、公式のあらすじが全然踏み込んでいないのでどこまでがネタバレなのかよくわからない。そこでそれを言ったら終わりだ、どうなるの…相手はどう反応するの…というリアルなヒヤヒヤが連続し、そこですごく意外な反応が来たりするから、読みたくなる。おすすめです。あーあなにも言ってないのと同じ感想を書いたが、小説に負けたんですよ私は。

 

今日は朝ごはん食べたあと、お土産だけ買ってなんの情緒もなくすぐ電車乗った。10時代に。なんなんだよ自分本当に。熱海楽しめよ少しは。一駅隣の湯河原で降りて名物回転寿司を食べようということだけは昨日決めていたのに、それすらだるくなり普通に新宿まで戻った。スマホ解禁。普通にショッピングし普通にシズラー、普通にリサイクルショップ。『富士日記』ついに読み終えた。約450ページ✖️3巻を電車で。さすがに感慨深い。『富士日記』大好き。全然関係ないんだけど、大学1年生のときの大学3年生ってマジでなんであんなにイキっていたのだろうというのをめっちゃ定期的に思う。私の体感もだし、概念としても。大学3年生マジで嫌い。

 

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スマホ起動即撮影の熱海。

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↑よきよき。

 

 

『生きる演技』、好きだった部分かつネタバレにならない部分引用するね。

ごめんこれ書きながら思ったが、いわゆる「ネタバレ」ではないけど、気持ちとしての文脈の中ではハイライトなので、読む予定のある方は読まないほうがいいです。前後の文あってのこれが面白いんだわ、小説だから当たり前。すべてネタバレでした。

 

 

ーネタバレ!ー

 

「うん。なんでか知りたい?人間は暴力大好きでしょ。でも、暴力できません。とくに現代では暴力大好きトークもだめです。暴力の言語化ダメです。でもほんとは俺たち、暴力の言語化が好きなだけなんです。暴力そのものというより、暴力っぽいことが好きなんです! 格闘技や喧嘩より、プロレスとかヤンキーとかのほうが全然好きなの。暴力の演出が好き。演技が好き。フィクションが好き。現実に耐えらんないのよ。だから格闘技って国技にするかプロレス文化ヤンキー文化に寄せないとショーにならないのね。そうしないとなんだかよくわからなくて見方がわかんないのよ。それなのに暴力っぽいものはもうとにかく好き。好きすぎる!」

だめだやっぱやめよう。全然2倍くらい続きあるし超途中だけどここでやめよう。オーラが消えてしまう。やっぱ読んでください。文脈の小説だこれは。『生きる演技』、超、超よかったです。

 

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たしかに、私は男性性の小説好きだなあ。男性作家でかろうじて好きな人はテーマが男性性な気がする。遠野遥など。芥川賞を男性がとるには男性性を描く必要のある時代なんだろうか。『みどりいせき』、気になりつつもどうしても大麻臭に拒否反応がでてしまい、読む気になれない。大麻というか、大麻、タトゥー、たばこ、ヒッピー、マッチョ、POPEYE、などという同心円の連なりのすべてがダサく、NGのため。ラッパーじゃない、サブカル音楽オタクみたいな人たち(同心円の中でも外側寄りの人たち)の、昨今の、大麻、タトゥー、たばこの感じね。それが無理。それが無理だからTwitterのおしゃれ左翼がすげえ苦手だ。おしゃれ左翼はタトゥーを入れるから。ダサいのに。なんか、誰か作ってほしいわ『花束みたいな恋をした』のこれ版。知的サブカル系ヒッピー版。夏はアメリカンスリーブのタンクトップを着るだろうね。細パーマで。女性を想起しているが男性も。