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 ジップパーカーのしおらしさに親近感が湧く。「私はダサいです、でもそのことがわかっているので堂々とダサくしています」という気配があるよね。満員電車で隣のおっさんが2席分足開いてくるから肩身狭そうに座っているOL。このデザインでできる限界まではやっています、だからどうか見逃してくださいって着るたびに謝られているのよ、ジップパーカーから。

 

 最近日焼け防止にユニクロのエアリズム仕様のジップパーカーを着ているんだけど、エアリズムはね、しおらしくはないけど変人としての誇りを持っているタイプ。ジップパーカーが演劇部ならエアリズムは1人しか部員がいないパソコン部の部長。だからジップパーカーと協力してこれはコーディネートに含まれないです!と強い意志で浮世離れを仕掛けてくる。

 

 いやいやいやいやそんなに低姿勢全開で来なくていいのよ!こちらは着たくて着ているんだから!大丈夫大丈夫!と私鉄内でなだめていたんだけど、駅のトイレに駆け込んで全身鏡を眺めたら演劇部を小馬鹿にする気持ちが溢れ出したわ、やっぱエアリズム仕様のジップパーカーダセ〜。裏で悪口言ってごめんね。